日本で生きるなら一度は観ておきたいミュージカル。【感想】『李香蘭』(7月28日マチネ)

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実在した大スターを主人公とした、劇団四季オリジナルミュージカル『李香蘭』。

同じく第二次世界大戦を題材とした『南十字星』、『異国の丘』とともに昭和三部作と呼ばれています。

今回はこちらの感想を。

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『李香蘭』のミュージカルは、DVDが発売されています。

 

もちろん、実在した女優で歌手のため、CDもあります。『李香蘭』の劇中の歌詞にもありますが、今のアイドルなんて目じゃないくらいの人気があったとか。

また、関連書籍も多く出版されています。時代背景の理解にお役立てください!

 

トラウマだったけど、観劇を決意した理由

今回『李香蘭』の観劇は人生で二度目。

6年前に初めて観たときのトラウマ (後述) が頭から離れず、近年もよく上演されていることは知っていても観劇は避けていました。

ですが、今回は2019年7月13日に亡くなった浅利慶太氏の追悼公演であること、浅利さんの奥様で女優の野村玲子さんが演じる李香蘭を観られるのもこれが最後かもしれないとふと思ったことから、思いきって劇場へ参りました。

『ひめゆり』の話と『李香蘭』へのトラウマ

『李香蘭』を初めて観劇したのは大学1年生のとき。昭和三部作を立て続けに観ました。

高校3年生の夏に受験生のくせして『ひめゆり』を観てかつてない衝撃を受けたため、戦争物のミュージカルは観なくてはいけないという意識を強く持っていた時期でした。

私が在籍していた高校は、戦争に関する教育を熱心に行っていましたが、私はそれらを全て冷めた目で見ていたんです。

それなのに、ミュージカルという虚構の世界でこんなにも恐怖を覚え、歴史を知りたい、知らなくてはならないという気持ちにさせられるとは思っていませんでした。

大学1年生というと、受験直後で世界史の知識がほぼ完璧に頭に入っていたため、『李香蘭』をはじめとする昭和三部作は説明的要素が多すぎると感じたのを覚えています。

『ひめゆり』はあまり説明はせず、ただ少女と戦争の対比が描かれていたんですよね。対極ともいえるものを音楽で表現していること、破壊の中に美を描くことにハッとした記憶があります。

(余談ですが、私は東日本大地震後の写真展で、瓦礫の中に咲く花を見て同じことを思いました。美は破壊の中にこそ見出されるものだと思う。)

あと、これも18歳というジャストひめゆり世代のときに『ひめゆり』を観てしまった影響なのか、『李香蘭』の終盤で、逃げそびれた少女がロシア兵に捕らえられて服を引き裂かれるシーンがトラウマになっていました。

あの叫び声、未だにはっきりと覚えています。

そのシーンを観たくないがゆえ、この6年間ずっと『李香蘭』を避けていました。

でも今回、そのトラウマは少し和らぎました。

トラウマを少しだけ克服した理由

完全に克服したわけではありません。

未だにあのシーンのことを考えると心拍数が上がってしまうくらい。

でも、前回よりも観ていて辛くはなかったです。

その理由は単純。

連れ去られていく少女を演じていた女優さんが、お顔をよく知っている方だったから。

吉田藍さん。浅利演出事務所の作品の常連さんです。

興行は違いますが、『ひめゆり』にも出演されています。

吉田さんはいろんな作品で拝見しているので、トラウマのシーンの間も、この人たちは演じているのだと自分を納得させることができました。

こんな理由で6年間の苦しみが和らぐとは。

現在25歳の私、老いることが怖い

ただ今年、改めて『李香蘭』の世界に触れてショックを受けました。

私の頭から世界史の知識が抜け落ちている。

ストーリーテラー的役割を担う川島芳子による解説があることで、話の流れにやっとついていけました。

6年前にはあり得なかったことです。

かつて私の手の中にあった知識や教養 (それに機転) が失われている。

はっきりと理解しました。

このこぼれ落ちていくものをもう一度かき集めたいし、それを理解してもらいたい。

最近身体的な老いがいつやってくるのかが怖くてたまらなくなっていることと相まって、時が過ぎていくことを恐れています。

まとめ:歴史とは何なのか

今までの流れとだいぶ違う話でまとめますが。

このミュージカル内外で今知られている李香蘭の半生は、本人の記憶によるものがほとんどです。

そこには多少の間違いや脚色もあるはずです。

でもそれはそう。歴史は勝者と生き残った者が作るものなのだと思います。

川島芳子の台詞、「中国のため日本と対立した者が勝ち、中国のため日本と結んだ者が滅びる」というのは、まさしく真理。

ひとつでも多くの戦争物のミュージカルを観て、同じ事象の捉え方の違いを知るべきだと痛感しました。

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