「真実はいつも一つ!」ではないお話4選 ※ネタバレほぼなし

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最近読んで面白かった、深水黎一郎さんの「犯人選挙 問題篇」という小説。

これを読んでいくつか頭に浮かんだ作品があるため、ご紹介します。

作品の概要を説明していますが、決定的ネタバレはございません。

私が解けていない謎についても書いたので、お分かりになった方いらしたらぜひ教えてください!

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「犯人選挙 問題篇」  は読者参加型

こちらは今回の記事の執筆を思いついた、「犯人選挙」という未発売の小説の前半です。

講談社のHPでもkindleでも無料公開されています。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000324207  

この「問題篇」を読んだ一般の読者たちが犯人を予想し、インターネット上で投票を行います。

選択肢は7つ。

それにより1位となった人物が犯人となるように、作者が後半の「解決篇」を書き上げることになっています。

7通りの結末がどれも起こり得る状態なのです。

投票は2019年6月30日(日)まで。

犯人に投票した人は、抽選で景品がもらえるそうです。

でもとっても穿った見方をすると、これって「真実は一つじゃないように見せかけて、実は一つ」なんてことはないですよね…?

7通りの結末が用意されているようですが、7つとも公開されるとはどこにも書かれていません。

実は結末は既に完全に決まっているとしても、インターネット投票の結果を操作することなんて造作ない気がします。

作家に対してとても失礼な物言いですが、ブラックボックスである以上、こんな指摘もできてしまうわけです。

それが起きないのが『エドウィン・ドルードの謎』というミュージカル。

『エドウィン・ドルードの謎』は何通りもの結末を知ることができる

チャールズ・ディケンズの同名の未完のミステリー小説を元にしたミュージカルです。1870年。

ディケンズは本作を書き上げる前に亡くなってしまったので、誰も結末を知りません

ミュージカルでは複数パターンの結末が用意されており、観客たちの投票によりその公演でどれを演じるかが決まります。

タイトルには謎 (原題ではmystery) という言葉が用いられており、殺人や死という言葉は使われていません。

これぞ全世界のミステリー好きの心をくすぐる要素です。

日本では2016年にシアタークリエで上演されました。

演出が福田雄一監督だったため、もうはちゃめちゃでした。(褒めてる)

ミュージカルではディケンズにより書き上げられているところまでが1幕。ちょうど事件が始まるあたり。

容疑者は8人。全員が一言ずつ、自分が犯人だと思わせるような発言をして休憩に入ります。そもそも犯人がいる前提です。まあ仕方ない。

観客は休憩中に犯人だと思う登場人物に投票。キャストが投票箱を持って客席にやってきます。

2幕の初めに投票結果を発表し、得票数トップだった人物が犯人の物語を演じます。

それとあと探偵役とカップルを決めるのですが、前者はダーツ、後者は観客の拍手の大きさで決定します。

舞台上の俳優たちもどたばたしますが、オーケストラは投票結果によって演奏曲が変わるので、裏ではもっと大騒ぎが起きるようです。

確か上演期間中に全部の登場人物が犯人になるパターンが演じられたはずです。

一番犯人にはあり得なさそうな人物 (つまりは一番わかりやすく疑わしいが故、小説家が犯人にするわけがない人物) が犯人になった日はたいそう盛り上がったとのこと。

私が観た日は無難な王道の結末でした…。ある意味「えー意外!この人がこんなことするなんて!」って思える流れだったわけですが。

まあ、この投票方法だと答えを一つに収束させるわけにはいかないので、いくつかきちんと用意しなくてはなりません。

投票結果は操作できるとしても、全公演同じ結末になるのはクレームものですよね。

ちなみに終演後、ロビーにその公演での投票結果の得票数が掲示されています。

台本もとにかく分厚かったそうです。

宣伝文句に使われているのは、「結末は288通り!」という文言。

計算式は4!×3!×2!×1!=288だと思うのですが、なぜこの計算方法になるのかが未だにわかりません。そんなにたくさん分岐点あったっけ…。

8人から犯人を選び、残り7人から探偵を選び、残り6人からカップルを1組作る。

あれ、288って7で割り切れない…。候補から除外される人いたっけ…。

あとカップルは男女で作られるはずだから…。

うー。順列と組み合わせが得意な方いらしたら教えてください。

なお、本作は世界中のミステリーファンによって考察されており、以下のような本まで出版されています。

で、さらに、真実は一つに集約されないことをその場で教えてくれる「毒入りチョコレート事件」という作品があります。

「毒入りチョコレート事件」こそ真実は1つではない

こちらはアントニー・バークリー作の小説。1929年。

ミステリー小説のようでミステリーでない、でもミステリーのような興奮を覚えます。

迷宮入りしかけている事件について、ミステリー愛好会の6人の男女が各々で推理をしていくお話。

全員が独自で調査をし、自身の推理を披露するまで全体の最終的な結論を出さないという前提なので、全員の意見を聞くことができます。

最近から予測できる事柄もあるものの、読者が推理するには手がかりが乏しすぎるので、読みつつ傍観者にならざるを得ません。

次々と新証拠や新証言が出てくるのはずるい気もしますが、証拠の揃い方によって誰でも犯人になる可能性があることを実感します。

真実はいつも一つではないということを叩きつけてくるのです。

未読なのですが、前述の深水黎一郎さんの「ミステリー・アリーナ」という小説もどうやら本作に似ているようです。

おまけ 『ifi』

おまけでさらにもうお一作品ご紹介。

蘭寿とむさんが2014年の宝塚退団後に初めて出演した舞台、『ifi』です。

でもごめんなさい、このミュージカル観ていないんです…。

当時の演劇雑誌読んで本当に観たかったのですが、スケジュール上NGでした。

なので、ご紹介だけ…。  

物語の途中、蘭寿さん演じる主人公が人生の選択を迫られるシーンがあります。

ここでどちらの選択をしたかでその後の物語が変わるのです。

特に観客の投票というわけではなく、AバージョンとBバージョンに分け、一定期間毎に上演していたようです。

まとめ

「真実はいつも一つ!」は確かにその通りです。

でもそれはその場にいて目で見た人にしかわからないことです。

第三者がその”事件”を外側から見るとき、その人にとっての真実というものが生まれます。

そういえば、某法律バラエティ番組も「あなたの真実は?!」というワードが使われていますよね。

そんなパラレルワールドのような世界を見せてくれる作品をご紹介しました!

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